天国への道2

🌸4世代10人ドタバタ国際家族が幸せな家庭をめざしてどう生きるか? 日々のエピソードや所感を勝手気ままに書き散らかしていきます🌸

不幸か幸せか?~認知症~

「迎えに来て、私を置いて行かないで・・・」
介護施設グループホームに入所している
91歳の母からの電話であった。

前日、母に面会したばかりなのに、
母は置いて行かれたと駄々をこねて、
施設のスタッフさんを困らせたらしい。


「お母さん! 明日必ず迎えに行くね、待っていてね」
こんな言葉で、母の不安は収まったらしい。


施設のスタッフの皆様のご苦労は計り知れない。
とにかく感謝しかありません。


井上貴裕医師(一心病院 精神科・心療内科)が
認知症について、こんなお話しをされています。
(「認知症でも幸せになれる」Sunday世界日報より)


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以前、見学に行った高齢者のグループホームでの出来事でした。
その施設の利用者さんは他の施設の方と比較し、
明らかに表情が明るかったのです。
その理由を施設長さんに尋ねたところ、
「ここの施設では、何をしても『ありがとう』と言っている」
とのことでした。


良いことをして「ありがとう」というのは当たり前ですが、
その施設では、ご飯をこぼしても、

他の利用者さんと喧嘩しても、
トイレの失敗をしても「ありがとう」ということを

徹底していたそうです。


認知症になってしまった方はもし間違ったことをして、
他人から正しいことを教えられても、

それは理解できません。


もし怒られてもそこから学ぶことはなく
「怒られた」という悲しい感情だけが残ってしまいます


では逆に間違ったことをしたときに
「ありがとう」と言われてしまったら

正しいことをしたと思い、
間違いを助長してしまうのではないかと
いう意見もあると思います。


しかし認知症の方は「ありがとう」と言われたからと言って、
間違った学習をすることもなく、
「嬉しい」という感情だけが残るのです。


そのように何をされても「ありがとう」を徹底することで、
表情が穏やかになり精神的に安定してくるため、
最終的に怒りっぽさや問題行動は減っていくとのことでした。


認知機能が低下してしまった状態で、
さまざまなことが理解できなくなってしまっても、
優しくされると嬉しくなり、またぞんざいに扱われたり、
きつい言葉を掛けられると悲しくなります。


認知症は脳の病気であり、
記憶力や理解力と言った認知機能は低下しますが、
人としての「心」はそのまま残っているのです。



また、認知症に限らず「病気=不幸」と考えてしまいがちですが、
どのような病気であっても、

その人が幸せか不幸かということは、
また別の問題だと思います。


現在の医学では治せない病気であったとしても、
その人が幸せになれないことを意味するものではありません。
もし、その病気を完全に治すことができなくても
その方の苦痛が和らげらるように、

可能な治療を行うことが重要ですし、
ご家族や周囲の方の関わりの中で、

幸せを感じて生活していくことはできるのです。


決して治療を諦めるというわけではなく、
「病気を治す」から「幸せな生活を送る」

という意識に変わっただけで、
今まで見えなかった多くのことが

見えるのではないかと思います。


抜粋:Sunday世界日報「認知症でも幸せになれる」