天国への道2

🌸4世代10人ドタバタ国際家族が幸せな家庭をめざしてどう生きるか? 日々のエピソードや所感を勝手気ままに書き散らかしていきます🌸

人は何を残して死すべきか?

先日、韓国人の牧師と、ある家庭を訪問しました。
86歳と92歳の仲睦まじいご夫婦の家です。


「マッチ箱のような家だから・・・」と言って、
昔から人の訪問を敬遠していました。
立派な住宅が並んだ閑静な住宅街の一角にある
実に、小さな古い家なのです。



私はご夫婦とは長いお付き合いをしてきました。
92歳の奥様は4,
5年前に認知症になり、
ご主人が、買い出しから家事の一切をしていました。
いわゆる老々介護です。



彼女の趣味は読書
30年前から本を読み、ボケないようにと10年前からは、
大事な本はノートに書き写していました。
そのノートが今では何十冊にもなるそうです。


************


古いセピア色の写真のような小さな二階家。
こんな家に人が住んでいるのかと感じる家なのです。


既に玄関先でご主人が私たちを待っていました。


ガタついた玄関ドアを入って、
タイル張りの流しのあるキッチンの前を通ると
向こうには3畳ほどの小さな部屋がありました。
4人で座ったら部屋はいっぱいです。


壁には、天上まで、家族やお孫さんの
若い頃の写真や賞状などが飾ってありました。


「こんな狭苦しいところに来てくださって、
ありがとうございます」
「歩けなくなってしまって、何の接待もできません」
と奥様が言いました。


昔、ご夫婦で頑張ったいろんなお話を
ご夫婦は懐かしそうに話してくれました。
しだいに明るい表情に変わっていきます。


玄関先で失礼するお約束が、1時間を経過していました。


「何かお祈りしてもらいたいお願い事はありますか?」
と聞くと・・・
「な~んにもね~よ。健康だけだね」
とご主人が笑いました。


帰り際、ご夫婦は、玄関先で何度も何度も
「ありがとうございました」と言いました。


帰りの道すがら、
私はこの老夫婦の次のようなお話を牧師にしました。


お孫さんが来て家に泊まった日、
大雨が降ったそうです。
雨が降ると雨漏りするんです。


いろんな器で雨漏りのしずくを受けるので
「トントン…、カンカン…、コンコン…」
いろんな音があちらこちらから聞こえて、
お孫さんが大喜びしたそうです。


<トントン…、カンカン…、コンコン…>


台風が来た時は・・・
玄関ドアが飛んでしまったそうです。
ご主人が外れたドアを拾って、

自分で取り付けたんです。


50年もここに住んで、
周りはすべて立派な家に変わりました。
息子さんから家を建て替えるようにと言われても、
建て替えもリフォームもしなかったそうです。


その代わり、二人の息子さんとお孫さんたちを大学まで出して
息子さんもお孫さんたちもみんな立派になりました。


ずっと夫婦で息子や孫たちの幸せを祈って来たのです。
どんなに貧しい生活でも、いつも感謝していました。


お孫さんが泊まりに来たときは、
必ず親と喧嘩した時だったそうです。
そんな時、美味しいものをたくさん食べさせて、
黙って孫の話を聞いてあげた
そうです。


そして、たとえお嫁さんが間違っていても、
「あなたのお母さんは間違っていないよ、

お母さんに謝りなさいね」
と、言って帰してあげたそうです。


こんな話をしながら牧師と歩いていると、
牧師はずっと黙って聞いていましたが・・・


見ると・・・
牧師は泣いていました。


************


「人は何を残して死すべきか?」


私たち人間は愛を呼吸しながら、
一日の生活において何を残しているのでしょう。
何を残すべきなのでしょう。


次のような言葉を思い出しました。

🌸「一生の終わりに残るものは集めたものではなく、 

与えたものとなります。~ジェラール・シャンドリー~


🌸人は一生の間にどれだけの愛を集めたかによってではなく、

どれほど、どのような愛を与えたかによって裁かれます」~渡辺和子~                                                                     


🌸「手に入れた物や業績より、                                                  どれだけ人を愛したか、どれだけ人の為に生きたかが重要です」~文 鮮明~