口は禍福の門~言葉で人生を作る~
昔から「口は災いの元」「口は禍の門」「口は禍の元」
などいう諺があります。
”不用意な発言が思いがけない災難を招く。言葉は十分に慎むべきだ” という戒めです。
子供の頃から嫌というほど言われ続け、生涯かけても難しい課題です。
悪い言葉はお口にチャックです。
特に女性はおしゃべりだから要注意ですよね。
松原泰道師の法話と塩沼亮潤大阿闍梨の著書『俢験のこころ』より
貴重な教えを抜粋してみました。
<松原泰道師>
<塩沼亮潤大阿闍梨>
仏教思想では・・・
善悪いずれの業(行為)は、身と口と意の三つの器官でなされると言います。
これを・・・
身業(身でする行為)
口業(口でする行為)
意業(心でする行為)の三業(さんごう)というそうです。
塩沼亮潤大阿闍梨の修験道では「三密清浄」と言い、
”こころを清らかに、言葉を慎み、行いを慎む”と言う教えがあるそうです。
身・口・意の三密を正常にするために山に入って修行するそうです。
<塩沼亮潤大阿闍梨の千日回峰行>
特に「口業」は、自分の口から出た言葉が禍を招くことがあるから、
“言葉をつつしむように”と教えています。
”そしる へつらう ねたむ”はすべて口でする悪業です。
松原泰道師は “ 言葉は心の足音である” と言っています。
心は姿も形もないので見えませんが、
言葉のトーンを聞くと、見えないその人の心の動きが聞こえてくると言いました。
「日本人は他の陰口をたたくのが好きだ」と評し、
マッカーサーは「日本人に陰で褒めてもらうのには莫大なチップが必要だ」と言ったそうです。
また、評論家の亀井勝一郎さんは、“言葉は心の脈拍だ”と言っています。
その理由は、医師は脈を診てその人が健康かどうかを知るように、
言葉を聞くと、その本人の心の健康状態がわかると言うのです。
荒々しい言葉を吐く人の心は不整脈で荒れていて不安定。
静かな言葉遣いができる人の心は和やかで安定している。
<亀井勝一郎さん>
言葉(口の行為)の口業はその人の心にあり。
心の動向(意業)が、ものの言い方(口業)に現われ、
さらに行動や動作の身業を喚び起こすので、
意業が人間のする行為(業)の総司令官だと言います。
総司令官の意業を正しく調えるのにはどうすべきでしょう。
結局、その悪業原因は ・・・
”自分が可愛い、自分の事しか考えない自己中心”だといいます。
また、近年ではSNSから発信される言葉も注意です。
相手が見えないため無責任に発信された言葉は厄介です。
傷つける言葉、落胆させる言葉、嘘やへつらいなど。
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ところで・・・
口には全く正反対の良い面があることも忘れてはいけません。
“口は幸いの門”
人を感動させる励ましの言葉も、思いやりの言葉も、感謝の言葉も、
お念仏やお題目も、説法や説教もみな口から発せられます。
思いやりの言葉や何気に掛けられた言葉で、
元気になったり、勇気が出たり、夢や希望につながります。
“口は幸いの門”でもあり幸福を招くのです。
結局・・・
口は禍福(かふく)の門。
禍・福のいずれの門になるかは、その人の心にあるといいます。
参考:
・仏教伝道協会から松原泰道の法話
・塩沼亮潤大阿闍梨『俢験のこころ』