天国への道2

🌸4世代10人ドタバタ国際家族が幸せな家庭をめざしてどう生きるか? 日々のエピソードや所感を勝手気ままに書き散らかしていきます🌸

ジョン・F・ケネディ国際空港でのハプニング

9月1日・・・
私はこの9月1日を迎えると思い出すことがある。
忘れることのない、ちょうど20年前の出来事である。


************
アメリカ、ニューヨークでのUPFの宣教任務を終えて
ジョン・F・ケネディ国際空港から日本に帰る時のこと。


私が日本に帰国すると知って、
ベルべディア公館に私は呼ばれた。
荷物を日本まで運んで欲しいとのことだった。


その荷物は、チェックの柄で伸縮可能な、
布製のとても大きな旅行バックであった。
(最近はこの様な伸縮性の縦長のバッグを見かけない)


私一人では運べずに、数人で車に乗せ、
宿泊先のダウンタウンにある宿舎に運んでもらった。


9月1日、帰国当日の朝9時に、
私を空港まで送るはずの人が、
都合が悪くなってしまった。


そこで、夜中の2時(AM2時)なら送ってあげると言われた。


私のフライトはユナイテット航空801便
13時ジャストである。


空港まで送ってもらうには、
あまりにも時間が早すぎる。
しかし、タクシー代節約のためには仕方なかった。


9月1日午前2時・・・
私は預かった大きな荷物と一緒に、
ジョン・F・ケネディ国際空港に送ってもらった。
ダウンタウンから車で約1時間で空港に到着。


ところが・・・
空港内部は電気が煌煌と点いていたが、
入口のドアに鍵がかかっていてドアが開かない。


こんな外に、一人で長時間待つことはできない。


ドンドンと入口のガラス戸を何度もたたくと
やがて、中から警備員さんらしき人がやって来た。


中に入れて欲しいと頼んだが断られた。


「朝7時にオープンする、出直して来い」と彼は言った。


「荷物がたくさんあってそれはできない。
内部入口の隅でいいから入れて欲しい」
と懇願した。


すると・・・
「仕方ないな~」
警備員は迷惑そうな口調でドアを開けた。
私を中に入れると再び鍵をかけて警備員は立ち去った。


アメリカ、J・F・ケネディ国際空港は巨大な空港である。
私は、自分のスーツケースと大事な荷物を引きずって、
入り口の一番近いベンチに座った。


AM3時・・・
煌煌と電気がともってガランとした巨大空間
その中で私たった一人・・・

誰もいない。
何の音もしない。


ただエアコンから噴き出している冷気の音が、
やけに大きく聞こえる。


しばらく座っていると、体がグングン冷えた。
エアコンの冷気が高い天井からまっすぐ降りて、
私の体を直撃していた。


こんな所で朝7時までいたら大変なことになる・・・。


しかし・・・
エレベーターもエスカレーターも止まっている。
大事な荷物を抱えたままでは
自由に身動きができない。


やがて・・・
あの警備員さんが向こうからやって来た。
どうやら巡回のようだ。
怖い目で私をチラッと横目で見て立ち去った。


私は荷物を抱え込んで眠ろうとしたその時・・・
なんと!!
預かった
大事なバックが破れていた!


バッグの中から衣類がのぞいている。
誰の荷物かわからない大事な預かり物。


「日本まで無事に届けてください。
大事な方の荷物ですからよろしくお願いします」

念を押し頼まれた言葉が蘇った。


布製のバッグには車輪がついていないため、
引きずって運んだために破ってしまった。


私は自分のスーツケースにかけていたベルトをはずし、
破れた箇所を補強した。
朝7時になったらなんとかしよう・・・。


時間が止まっているように感じる長い待ち時間。


定期的にやって来ては、
私を横目でチラッと見て、通り過ぎていく警備員さん


彼の姿が遠くに見えると、私は寝たふりをした。


寝たふりが、いつの間にか本当に眠ったようだ、


気が付くと時間がだいぶ過ぎていた。
残り時間をカウントしながら、
通り過ぎる時間が嬉しかった。


ちらほらと人の姿が見えるようになった。
空港の職員さんらしい。


あの警備員さんが、私に近づいて来て言った。
「7時になったら、地下にあるコーヒースタンドが開くよ。
温かいコーヒー
が飲めるよ」と言った。


7時になった!
今まで止まっていた電光掲示板が一斉に点灯した、
にわかに空港が動き出した。


”温かいコーヒー”は、冷えた体には福音のはずなのに・・・
この壊れた大きな荷物を引きずって地下に移動は困難だ。


私のフライトチェックインは9時
さらに2時間、ここでこのまま辛抱しなければならない。


空港内に、徐々に人が増えてくると、
私の姿は雑踏の中の小さな一点にすぎない。
誰もこんな小さな私に注目する人はいない。

おかしなことだけれど、やっと私は安心した。


私の背中を誰かが叩いた。
いつの間にか、私はバッグを抱えたまた眠ってしまったようだ。


顔をあげると、あの警備員さんではない
別の大きな身体をした警備員さんが、
コーヒーカップを手にして私の前に立っていた。


彼はコーヒーカップを私の目の前に突き出して言った。


「チェクインの時間だよ。
これを飲んでからカウンターに行ったらいいよ」



きっと、あの怖そうな警備員さんが交代した彼に、
私のことを伝言したに違いない。


「何時のフライト? どこに行くの?」と彼は私に聞いた。


「午後の1時です。日本に帰ります」
その答えを聞いた瞬間、彼は飛び上がって驚いていた。


私は午前3時から10時間、
この空港にたった一人で座ってフライト時間を待ったのだ。
こんな私は、たぶん
珍客なのかもしれない。


海外宣教ではさまざまな国の先々で、
いろんなハプニングが起こる。


例えば空港では・・・
空港のベンチで一夜を明かすことはよくある。
荷物を持ち去られたり・・・
ショルダーバックを切られたり・・・
スパイと間違われて身体の中まで取り調べを受けたり・・・


でも不思議な事が起きる・・・
困ったときには必ず、
助け人や援助者が現れる。


<最近のケネディー国際空港>


午前9時過ぎ・・・
入国検査を済ませた。


ユナイテット航空801便、
やっと東京行きの搭乗口に向かった。


あの怖そうな警備員さんにお礼も言えなかった。
温かいコーヒー涙が出るほど嬉しかった。

空港警備員さんたちの親切を決して忘れない


9月1日13時・・・
私は、たくさんの思い出を胸にアメリカを飛び立った。
いつも私と共にいる神様を道連れにして・・・