「諦めない」という生き方も重要ですが、
時には「諦める」という決断と選択肢も重要。

「日本人だったら一度ぐらい富士山に登らないとね」
誘われて迷ったすえ「富士登山」を夫婦で決意。

当初７月の計画から二転三転し
日程は９月３日に変更になった。
参加人数も２５人に増え、
２０代から７０代の老若男女。

行程計画では・・・
山頂まで直単距離を登る富士宮ルート。

前日の夜11時に東京出発。
AM３時に五合目から登山開始、９時登頂。
１５時に五合目着。
２０時東京着。

このスケジュール・・・
いわゆる「弾丸登山！！」

弾丸登山とは、短時間で高度を上げることで
高山病や体調不良に陥るリスクが高いと言う。

私達夫婦は、生まれも育ちも長野県。
３千M級の登山経験は零ではないが富士山は初心者。
青年と一緒では、仲間の足を引っ張りかねない。
ちょっと不安になる。

「気力だけでは登れないよ」
標高３７７６ｍの山を制覇するには
それなりの装備と体力も重要だと、
登山が趣味の妹から警告された。

やはり止めるべきかな・・・
でも、止めるというのも悔しい。

そこで、考えた。
私達夫婦だけ別行動の単独登山。
日程とコースを変更した。

一陣の3日後、９月６日から7日の
ガイド付き一泊ツアー。
初心者が多い、吉田口コースを登る。
初日は八合目にある山荘泊。
このスケジュールなら何とか大丈夫か・・・

装備を準備し、
毎日５キロを夫婦で歩いて訓練のつもり・・・

ところが、思いもよらない事態が・・・
沖縄近海で台風が発生！

台風がしばらく留まっていたために、
23名の一陣の登山に影響は全くなし。
登山指数は「Ａ］登山には良好な天候。

しかし、二陣の私たちの登山日は
登山指数が「A」から「C」に変わった。
富士山の天候はコロコロ変わるらしい。

行くと決意したのだから「台風だって行こう！」

「意気込みだけは立派のようだけど、
 “C” なら絶対行かないよ！」
と妹を更に心配させた。

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９月２日から３日に弾丸登山した
メンバーから状況が入ってきた。

富士山で稀に見る最高の天気！！
満天の星！
ご来光も素晴らしい！！
21名が日本の最高地点、剣が峰（3376M）を制覇した！

「登頂おめでとう！！」と私はlLINEを送った。

しかし、その後心配な連絡が入って来た。
２名が頭痛と嘔吐で高山病になっていた。
2人はリタイヤし7合目から下山したらしい。
下山は登りより倍の時間を要し、辛かったという。

また、下山中に最高年齢の一人が動けない状況・・・。
二人がサポートしながら下山中だという。

既にあたりは暗くなっているらしい。
ライトを持って元気な青年二人が
五合目から３人を迎えに行ったという。

予定では五合目に到着は１５時だった。
結局、全員が戻った時間は２０時になった。

ライトを点けて登り、ライトを点けて下山した。
23人全員が無事に生還した。

高山病なのか、頭痛と嘔吐でリタイヤした婦人が言った。
「諦めることは悔しいけど、諦めることも重要！」
「頭上をドクターヘリが飛んでいたのを見て下山を決めた」
「人に心配や迷惑をかけてはならない」
「自分との闘いだった！」
「富士山はいつでもある」

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ところで、二陣で登る私たちは・・・

前日のツアー参加確認の電話では
「台風が来てますからね～」
台風の影響があると言っていた。

ネットで高度3100M付近の天候を検索すると・・・
６日は風速16～21m、登山指数「Ｃ」
７日の天候は雨、登山指数は「C」

この数字がどんな状況を意味するのか
私たちには全くわからないが、

最後の決断を主人がした。
富士登山を断念！！